◆野菜の成分が変化する。
冬が早く訪れる山形では11月下旬にもなると冬野菜の味が絶頂を迎えます。野菜は、寒くなると自分が凍らないように、蓄えていたデンプン(固体)を糖(液体)に、同じく、タンパク質をアミノ酸に分解したり、糖やアミノ酸などを多く作りだし、細胞内にためる自己防衛機能があります。だから、冬野菜は甘くておいしいのです。冬になると道端に生えている雑草も緑から紫になっていませんか?これは糖やアミノ酸と同様にポリフェノールを多くして寒さから守っているのです。その大根や白菜は一度収穫し、越冬させるために最適な状態にしておき、この上に雪が降り積もるのです。
◆雪の中は、湿度90%以上、摂氏0℃近い状態で安定。
だから、どんな寒波がやってきても凍ることもなく、冬野菜を最高の条件(摂氏0度、湿度90%以上、100%近く)で保存できるのです。さらにこの条件は安定し、雪のなかは真っ暗闇。野菜は無駄な呼吸することもなく、乾燥することもなく、光合成をすることもなく、半休眠状態に入ります。だから甘さもみずみずしさもそのままで保存することができます。それに適しているのが大根、白菜、キャベツ、人参、かぶなど。もちろん、寒さに強い品種選びが必要です。
◆雪の中でじっくりと熟成する
大根や白菜などは土から引き抜かれて保存されます。雪の中で眠っている間に、青臭さが抜けていき、繊維質が少しやわらかくなります。これも熟成と捉えています。野菜の青臭さが抜けて、食感がわずかにやわらかくなることで、おいしさがより引立つと考えています。
◆豪雪地帯ではないので、定期的に出荷できる。
産地は山形の内陸部。その中でも雪が少ない山形市、天童市を中心に、寒河江市・河北町・村山市の平野部。畑に野菜を残したまま雪中保管をするには最適地だと考えています。雪が少ないので、計画的に収穫できる方法(寄せておくなど)が編み出されているのです。
◆やっぱり重労働。
それにしても収穫前に収穫以上の作業を行い、雪が降ったら畑までの農道は自分たちで除雪し、畑に辿りついてから、スコップで掘り起こし、野菜を調整し、畑からトラックまで運び、出荷する。これは重労働で時間もかかります。時給換算して価格を決めたらとても買ってもらえる金額になりません。それでも、ロマンのある農業であり、みなさんの笑顔のために、がんばり続けます。
※生産者は減少傾向にあります。ただいま、雪を活かした農業を守るべく「やまがた雪中野菜研究会または協議会」設立予定。個の技術を体系化し、さらに名称や基準を定めていきます。
雪深くなると(積雪量1m)こんな感じになります(高橋農園さん)。

おい、どのあたりだ。たしかこの辺のような、、、ありました!

除雪機で野菜の上の雪を飛ばします。

そこからスコップで掘ります、掘ります。

野菜の上にあるのは締まった雪の塊。
スコップでは持ち上がらず抱きかかえて「えいや!」
雪下野菜?雪中野菜?雪室野菜?越冬野菜?
雪の中で貯蔵する野菜の呼び方はどれが正しいのか?作付面積が少ないためにいろいろな呼び方をされていますが、農業試験場等の農業技術の研究報告では、およそ以下のように呼ばれています。
◆野菜を収穫せずに、そのうえに雪が積もっている状態(キャベツや人参、ごぼう、長芋):雪下栽培・雪下野菜・越冬野菜
◆野菜を収穫し、畑の一部に集めて藁などをかけておき、そのうえに雪が積もっている状態(大根、白菜):雪中貯蔵、雪中野菜
◆野菜を収穫し、室内に雪を保管し、その温度で保存する方法(野菜のほか食品全般)または、コンテナなどに入れて、それを雪に埋める状態(りんご、キャベツ):雪室貯蔵、雪室熟成、雪室野菜、雪室りんご
こうみていくと室内で保存する以外は「雪下、雪中」という表現が一番シンプルだと考えています。
<雪中野菜・雪下野菜>
・「雪下キャベツ」・「雪中大根」・「雪菜」(米沢)・「赤根ほうれん草」
・「雪下にんじん」・「雪下かぶ」・「雪室りんご」・「雪中白菜」
雪中野菜の収穫風景動画・越冬方法
白菜や大根などは、マイナス3度以下の霜が降りる前、
雪が降る前に囲うことができるのが理想。
雪の量は外気や光の影響を受けない40cmほどがベスト。
雪下大根の収穫風景のアルバムはこちら
<雪中白菜の越冬方法>
雪が降る前の12月上旬。ちょうどよく育った白菜を収穫し、以下の3パターンで寄せます。
※もう少し肥大させたいときは根付きのまま収穫する。
1)そのまま畑の畝に横にして4列×2〜3段に積み重ねる(====)
2)1つの畝はそのまま、両脇の畝の白菜を横にして二段積み重ねる(=||=)
3)天地をそのまま10列ほどに並べて脇は土を寄せる(|||||||||||)
そのうえに藁や寒冷紗で覆い雪が降るのを待ちます。
やがてその上に雪が降り積もり、このなかでじっくりじっくりと熟成していきます。
積雪量は外気や光の影響を受けない40cmほどがベスト。
雪が少ないと傷んでしまうので雪中の中では一番リスクのある野菜です。
★出荷は2月下旬頃まで(雪の降り始め、積雪量、気温により変化大)。
お届けするのは、山形の五十嵐さん、熊谷さん、阿部さん、高橋さんの雪中白菜。有機質肥料を施して土づくりをしているので、実に滋味深い味わいを育みます。安心でおいしい特撰白菜を雪国山形からお届けいたします。
<雪下キャベツの越冬方法>
雪下キャベツ(雪中甘藍)は、耐寒性の強い品種を選びます。雪の中でも生長するので、雪が降るころに 8〜9分巻きくらいに生長していることがベスト。キャベツは畑にそのまま残しておき、その上に雪が降り積もればOK。雪室の方法は自然のままですが、収穫の際は、雪のなかをざくざくと進み、一つ一つ中身を確かめての作業なので時間もかかります。重たい雪が降ったり、雨だったりその日の条件によって雪の層が 変化します。だから、スコップを替えたり、堀り方を試行錯誤しながらの作業。生産者の一人、高橋さんは「キャベツなのに、あまごいねえ(甘い)って言われ る」と笑顔。
★お届けは3月頃まで
雪国から体がほかほかになる贈り物です。お金には代えられない、みなさまの喜びの声がこの農業を支えています。そのほか、雪深い地域は、一度収穫して白菜のように上向きまたは下向きにして積んでおく方法もあります。
※雪下人参も同様に収穫せずにそのまま。
<雪中大根の越冬方法>
・霜がおりる前の11月下旬頃に大根を収穫し、
・葉付き泥付きのまま、横に寝かせ20本×5段ほど積み上げます
(作業性から葉付きのまま・長期保存の場合は生長点を切除する方法も)。
・シートをかぶせ上から15cmほど土を盛ります。
・その廻りは雪解け水を受けるために堀を作るように30cm×30cmほどの溝を切って完成。
このころは雨、雪で畑がぬかるみ重労働になることが多い。
収穫は畑に辿り着くだけでも大変。さらに雪室に辿り着くのもまた大変。雪を取り除き、葉を落とし、大根の泥を落とす作業をして出荷します。品種は、耐病総太り、広重、福耳2号など。
★貯蔵は2月中旬頃まで(雪の降り始め、積雪量、気温により変化大)
雪中野菜・雪下野菜のレシピ・食べ方
冬の寒さに耐える野菜が、体をぽかぽかに温めてくれます。
全国有機農法連絡会の雪中・雪下野菜をお楽しみください。
地元での食べ方を聞かれることが多いのですが、昔から食べられてきた野菜は大根です。おもにご飯に混ぜた大根飯となっていたようです。そのほかの野菜は昭和に入ってから一般に普及したものなので、雪中野菜を使ってよく食べる「郷土料理」はこれというものはありません(「白菜の煮びたし」が多いようです)。
雪中野菜の醍醐味は、甘くてやわらかいこと。だから、素材の味を生かしたシンプルな料理がベスト。まず最初は、生でそのままなにもせずに食べてください。つぎにサラダ。それも味付けは塩だけ。加えてもオリーブオイル。野菜のみずみずしさ、甘さを感じてみてください。その次は、蒸し野菜。そして、鍋、シチュー、ポトフなどで、野菜を「たっぷり」と入れ、じっくり煮込み、野菜のとろとろ感と甘さと野菜の旨味と滋養が溶け出したスープをお楽しみください。
取り扱いのポイントがあるとすれば、保存場所が変わり温度も高くなれば、呼吸をはじめて糖度が少しずつ消費されるのでしっかりラップで包んで水分蒸発を防ぎ、冷蔵庫保管で「早くたべる」こと。でもみなさん、数日で食べきっちゃいましたと、よく聞きますので大丈夫ですね。
テレビや雑誌に紹介されました
雪中甘熟野菜は、テレビ、雑誌でも紹介された雪国自慢の野菜。私たちにはうれしい宝物。取材ありがとうございました!
●テレビ東京「よじごじDays」雪下野菜 2018年1月24日
●テレビ朝日「ごはんジャパン」2018年1月18日
村山市の高橋さん単独取材!
タイトル「山形県村山市 雪下野菜」
五十嵐美幸(中国料理「美虎」オーナーシェフ)迫田孝也(俳優)
●小学館「ワンダーキッズペティア」25号
雪下キャベツの栽培方法と画像提供
●日本テレビ「newevery」
雪下白菜が「甘い、まるでフルーツみたいですね!」
●フジテレビ「みんなのニュース」
キャベツや白菜が雪のなかでおいしくなる理由
●日本テレビ「月曜から夜ふかし」
マツコにとれたてを食べさてあげたい件でしっとり大根
●テレビ朝日「スーパーJチャンネル」
雪下白菜と安心工房で作った雪中野菜と塩だけの鍋
生の大根を食べ「フルーティー、梨を食べているみたい!」
●NHK「おはよう日本」まちかど情報室
雪室大根と雪中甘熟野菜セットの出荷の様子
●日本農業新聞
「人気の雪中甘熟野菜」として紹介
●週刊誌 女性自身
超甘「越冬野菜が大人気」として野菜紹介
●日本テレビ「ズームインSUPER!」
雪室の白菜と大根が紹介 辛坊治郎氏が「甘い!」と絶賛!
●NHKゆうどきネットワークで紹介
雪室大根の掘り起こし作業から農家の料理まで詳しく紹介
★購入ご希望の方はこちらの通販ページをご覧ください。
★ご案内:頒布会「旬の玉手箱NAGOMI」をご利用いただくと11月から2月まで雪中野菜が届きます。初夏にはさくらんぼ、夏にはだだちゃ豆や桃、秋にはラフランスなども楽しめます。