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Toggleきのこは、一年中手に入りやすく、料理にも使いやすく、栄養的にも非常に優れています。今回は、きのこの『森の恵み』として知っておきたい機能性成分をご紹介します。
免疫力をより高める賢いきのこの食べ方
▼きのこはさまざまな料理に応用できる食材です。健康をより高める食べ方を知って、毎日の食生活に積極的に取り入れたいものです。
▼まず最初に知っておきたいことは、きのこの機能性成分や旨味成分の多くは細胞壁に包まれていることです。人間はこの細胞壁を消化するのが苦手です。
▼つまり、きのこを食べても細胞内に含まれている多くの旨味成分は閉じ込められたまま、機能性成分は素通りさせてしまうことになります。
▼それでも大丈夫です。95度以上で5分以上加熱することで細胞壁が壊れて成分が溶出し、消化吸収しやすくなります。同様に、冷凍したり電子レンジで加熱することでも同じ効果が得られます。野菜にも同じことが言えます。
▼いずれもきのこのぷりぷりとした食感は劣りますが、体にご褒美となる栄養素が吸収しやすくなるうえに、旨味成分も豊富になるのです(旨味成分は60~70度で強くなるため水から茹でてこの時間を多く遭遇させることも大切)。
▼きのこ特有の食感を楽しみたいときを除いてしっかりと加熱し、その成分が溶出したスープもいただくのが賢いきのこの食べ方です(そのために薄味仕立てに)。
▼きのこの機能性成分をご紹介します
食物繊維(水溶性と不溶性)
▼きのこには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどちらも含まれており、この点においても優れた食材です。
- 水溶性食物繊維は腸内でゲル状になり、LDLコレステロールや有害物質を吸着して排出したり、糖質の吸収をおだやかにして血糖値の急上昇を抑制する効果があります。
- 不溶性食物繊維は水に溶けずに腸内のぜん動運動を活発にし、水分を吸収して便を出しやすくする作用があります。また、腸には免疫力に関わる細胞の7割近くが存在する人間の最大の免疫機関です。この腸内の善玉菌を元気にしてくれるのも食物繊維です。
▼さらに、きのこには次のような機能性成分も含まれています。これがきのこの力、森の力だと思います。
糖を燃焼させるビタミンB1(水溶性)
▼糖質などを代謝(燃焼)してエネルギーを生み出すビタミンです。そのほか、末梢神経にも関与し、不足すると全身の倦怠感、食欲不振、手足のしびれ・むくみなどの症状のある「脚気」になります。白米を主にしていた昔の日本人に流行したビタミンBの栄養失調です。
肌荒れを防ぐビタミンB2(水溶性)
▼ビタミンB2は、糖質、たんぱく質、脂質の燃焼やそのエネルギー産生に関わる栄養素です。皮膚、髪、爪などの細胞を再生させて若々しさを保ったり、目や鼻、のどなどの粘膜を健やかに保ち免疫力を向上させてくれます。不足すると、口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、角膜炎などを起こします。ショコラBBが役立つのは、このビタミンが含まれているからです。
骨を強化するビタミンD(脂溶性)
▼マイタケに特に多く含まれ、椎茸では天日干しするとさらにビタミンDが増えることが知られていますが、傘を下にして2時間ほどでも効果があります。ビタミンDは、カルシウムの吸収を高めて骨や歯への沈着を促したり、血液中のカルシウム濃度を一定に保ってくれるという優れた機能を持ちます。体内のカルシウムが不足するとイライラにもつながります。
▼また、体内に侵入した細菌やウイルスに対して、サイトカインという物質が攻撃命令を出しますが、過剰生成されると自分の体を攻撃してしまいます。ビタミンDには、これを抑制する働きもあります。さらに、皮膚や腸を保護する機能が高まるとされています。つまり、美肌に役立ったり、免疫器官の要である腸を保護して良い状態を作り出し、免疫力アップにつながる役割もあります。
がん抑制のβグルカン(食物繊維・水溶性)
▼βグルカンは、腸内の免疫細胞に直接働きかけてくれる不溶性の食物繊維です。ウイルスなどに感染した細胞や「がん細胞」を攻撃するマクロファージやNK細胞、T細胞、キラーT細胞などの免疫細胞を活性化させる働きがあります。ほかにも食物繊維同様の働きもあります。
▼シイタケやマイタケに多く含まれており、その他のきのこや大麦、パン酵母などにも含まれています。アガリスク茸に多く含まれているため、この名前の健康食品を見かけますね。
▼もう一つ、βグルカンは腸に直接働く成分なので、しっかり働いてもらうためには、ベジファーストのように、先に食べて腸にしっかり届けることがよいという情報もあります。
しじみの5倍以上!オルニチン(水溶性)
▼肝臓の働きを直接サポートしてくれる遊離アミノ酸「オルニチン」。オルニチンサイクルによってアルコール分解で産出されたアンモニアの分解を助けてくれます。
▼しじみが肝臓に良いということは古くから知られ、健康食品にもなっています。実は、ぶなじめじにはしじみのオルニチンの5倍以上も含まれています(白いしめじはさらに多い)。
▼しかも、一年中手に入り、しじみよりも多く食べることができます。しっかり加熱してオルニチンが溶け出したスープを摂取するのがおすすめです。晩酌の〆には、しめじの味噌汁がおすすめということになります。
▼そのほか、筋肉や骨の発達、脂肪燃焼に作用する成長ホルモンの分泌を促進する働きがあります。就寝前にオルニチンを摂取すると、眠りの体感が良くなるという報告があります。
脂を吸着してくれるキノコキトサン(食物繊維・水溶性)
▼キノコキトサンはキノコ特有の食物繊維で、植物性キトサン、β-グルカン、複合糖質などで構成される複合食物繊維で、油を吸着して分解と排出を促進します。これにより腸内環境がすっきりと最適な状態に近づきます。
▼この成分は、脂の多い食事やぽっこりおなかにと謳い文句で健康食品にも含まれています。エノキでの実験では、冷凍させてから加熱することでキトサンが12倍に増加した(溶出する)という結果もあります。
美肌キープのチロシナーゼ阻害物質
▼マイタケに多く含まれている成分にこの物質があります。メラニンの活性を抑制してシミそばかす、美白に役立つ成分です。
強力な抗酸化成分!エルゴチオネイン
▼たもぎ茸に多く含まれている成分としてテレビなどで話題になりました。この成分を使った健康食品では、中高年の方の記憶力・注意力をサポートすると謳われています。
▼エルゴチオネインは、脳、肝臓、腎臓、赤血球や皮膚など体の多くの場所に運ばれて、強力な抗酸化作用が発揮すると考えられています。その含有量はたもぎ茸が圧倒的に多いのですが、シイタケやエリンギ、ヒラタケ、エノキなどのキノコ類に多く含まれています。
以上、健康に役立つ「きのこ」の機能性成分のご紹介でした。
わたしたちはこのきのこを健康を守る重要な食材として野菜セットに毎回組み入れています。また、もっと取り入れたい方には、追加でも購入できるようにしています。