絶対に知っておきたい「たんぱく質の新常識」と大人のための「たんぱく質選び」
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わたしたちはお肉をモリモリ食べるという年代もありません。唐揚げやフライドチキンなどの揚げ物、焼肉やステーキが多くなってしまうと内臓に負担がかかったり、腸内環境の悪化、カロリーオーバーで肥満や心血管疾患のリスクが高くなったります。
もちろん、質のよいものをご褒美的に食べることは健康的な選択ですが、目安量を知り、お肉以外からもたんぱく質が摂取できることも知っておくとこれからの健康づくりに役立ちます。
また、50代から消化酵素の活性は低下するので、しっかりよく噛んで食べることもポイントです。それでは覚えておきたい新常識をお伝えします。
①一日に必要な量は、最低でも体重×1gを
目安量の計算は活動量によって変動しますが、ふつうの生活をしていれば、体重×1g~1.2g、スポーツや筋トレを行っている人は、体重×1.2~2g、高齢要介護者は、体重×1.2gなどで計算されます。
高齢者は食事による筋肉合成率が引くなるため、若いときよりも摂取量をあげる必要があるのです。
一食なら50代の平均体重で男性なら70÷3で約23g、女性なら55g÷3で約18gです。
※自分にあった目安量は日本人の食事摂取基準を参考にしたり専門家に相談を。
②一食に必要なお肉の量は手のひらサイズと覚えておく!
手のひらサイズ(指は含まない)のお肉やお魚は100gほど。たんぱく質は18g前後。たまご1個や納豆1パックなら7gと覚えておくと役立ちます。
カロリー計算のように厳密にするのではなく、わたしの活動量からお肉100gでちょうどよいなど、大雑把に過不足を把握するクセをつけておくと料理の見た目で判断できるようになります。
※日本人の食事摂取基準では、カロリーベースで炭水化物50~65%、たんぱく質13~20%、脂質20~30%という割合が推奨されています。糖質摂取量が多くなっている現代人は糖尿病予備軍状態。しかし炭水化物を減らすときは、間食や飲み物、デザートなどを率先して減らし、主食は減らしても2~3割にとどめることがよいようです。
③知らなかった!たんぱく質は朝昼夜と3回に分けて摂取すること。
一度の食事で処理できるたんぱく質の量に限りがあります。
とくに赤身肉や鶏肉などの動物性たんぱく質を多く摂っても排出されて無駄になるだけでなく、胃腸への負担や腸内環境悪化の原因になってしまいます。
現代では、「1日3回にわけてたんぱく質を摂取すること」が健康的な食事の常識となっています。これは筋トレを行っているときでも変わらずに必要な条件です。
④しかも朝食にたんぱく質が不足すると筋肉が分解されてしまう
一度の食事の目安量よりたんぱく質が少ないと「筋肉の合成スイッチが働かず」に「筋肉の分解が進んでしまう」のです。
とくに、夜から朝までは体内のたんぱく質の分解がおきていて、その時間が長いことから朝食のたんぱく質不足は厳禁であると指摘されています。
さらに、たんぱく質の吸収(アミノ酸の代謝)、つまり筋肉の合成は、朝が一番盛んであることがわかっています。ここでしっかりと補い、通勤などで運動を加えるようすることがベストです。
また、朝食を欠食して甘いお菓子や甘い飲み物でつなげていたり、パンだけ、おにぎりだけのように炭水化物だけで済ませていると血糖値をあげる食習慣であるうえに、筋肉の分解は進み、筋肉を合成する機能までもストップしてしまう悪循環になるのです。
⑤朝食にたんぱく質を摂ると体内時計がリセットされる
夜型で朝が苦手、など体内時計の乱れや時差ぼけを調整するためには、朝に日光を浴びることで体内時計の中枢でリセットすることに加えて、末梢の体内時計では、朝食に糖質とたんぱく質を摂取すると、食後高血糖を防ぎつつ体内時計を調整されることが早稲田大学理工学術院の研究グループによって解明されました。
朝日を浴び、たんぱく質不足のない朝食を食べる習慣(体内時計が朝型にリセットされる習慣)は朝から気持ちよく働ける秘訣となるのです。毎食朝食を摂る学生の成績が高いことも関係しているのではないでしょうか。
⑥お肉を食べるときには脂質に注意。
質がよく消化しやすいたんぱく質を摂取すると効率よく筋肉を作ることができます。脂身はおいしく感じ、健康効果もありますが、高カロリーになることはもちろん、消化に時間がかかる原因となるデメリットもあります。
脂身の多いお肉は特別な場合だけにして、脂の少ないお肉を選んだり、脂を切り落としたり消化によい調理方法にすることがおすすめです。
赤身肉や加工肉について大腸がんのリスクがあると云われていますが、国立がん研究センターでは、日本人の平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクは影響がないか、あっても小さい、とありますが、食べすぎには注意が必要です。
★賢いたんぱく質の選択
賢い選択その1 動物性たんぱく質×植物性たんぱく質が上手な摂取方法
大豆などの植物性たんぱく質は、お肉やお魚に比べてイソフラボンや食物繊維、不足しがちなカルシウムも豊富で、脂質も少ないことから、生涯にわたり健康に良い効果を及ぼすことが多くの研究から報告されています。これまでお肉中心だった生活から、どちらか一方に偏らずにバランスよく摂取すると食の質がかなり底上げされます。
このふたつを使うお料理では、豆腐ハンバーグ(豆腐+ひき肉)、豚汁(味噌+豆腐+豚肉)、肉豆腐、鍋(豆腐+肉または魚介類)、納豆オムレツ、納豆に玉子を混ぜる料理や、朝食に納豆と味噌汁に魚など、お肉をやや抑えて豆類を加えることが一番の方法です。
※野菜や主食にもたんぱく質が含まれています。
ブロッコリー100gに4.3g、アスパラガス100gに2.6g。
主食では、ご飯一杯に3g、そば一人前260gには12g。
賢い選択その2 日本人に不足しているカルシウム入りのたんぱく質を
50代のカルシウムの一日の推奨量は、750mg(女性650mg)。日本人はカルシウム不足。カルシウム入りのたんぱく質を選択することはどの年代でも重要です。
<おもな食品のカルシウム量>。
★乳製品・・・牛乳コップ1杯(200g)220mg、ヨーグルト1パック(100g)120mg、プロセスチーズ1切れ(20g)126mg、カマンベールチーズ1切れ(20g)92mg、卵1個26mg。
★魚・・・さば水煮缶(100g)260mg、ししゃも3尾(45g)149mg、いわし丸干し1尾130mg。
★大豆・・・木綿豆腐 約1/2丁(150g)180mg、納豆 1パック(50g)45mg
★カルシウムは野菜にも含まれています。おひたしや煮物の小鉢料理は強い味方になります。
小松菜1/4束(70g)119mg、水菜1/4束(50g)105mg、モロヘイヤ1/2束(50g)130㎎、春菊(80g)96㎎。乾物では、切り干し大根の煮物1食分(15g)81mg、ひじきの煮物1食分(10g)140mg
賢い選択その3 青魚は老化防止剤入りのたんぱく質。脂質も一緒に。
DHAやEPAは、お魚を食べなくなった日本人にはあきらかに不足しているオメガ3系の必須脂肪酸です。血液をサラサラにしたり、炎症を抑えたり、認知症を抑制してくれます。
健康長寿食のダイエット食やDASH食では赤身肉を極力控えて、魚の摂取を優先させる食べ方が推奨されていることからその重要性がわかります。
DHAの摂取目安量は、一日に1g~1.5gです。今週は魚を全然食べていない、というのなら、脳の栄養不足が心配です。
焼いたサンマなら約1尾、小型のイワシなら約2尾が目安。刺身のマグロ(トロ)で2~3切れ、ブリで4~5切れ。それぞれたんぱく質の量も目安量に近いので、毎日のお料理はお肉を続けずにできるだけ魚を挟むことがおすすめです。
手軽に摂取できるのは「さば缶」。100gで1.3g前後含まれています。たんぱく質もカルシウムも摂れるのでサバ缶料理のレパートリーは増やしておきたいところです。くれぐれも煮汁は捨てずにレモン汁などを加えたり、お味噌汁などに入れて残さず食べるべきものです。また、保存食にもなるのでサバ缶は買い置き必須アイテムです。
賢い選択その4 これも忘れずに。たんぱく質と一緒に摂るとよい食べ物
たんぱく質の再合成には、ビタミンB6(にんにくなど)やB12(貝類、海苔、レバー)が必要です。また、肌の健康を保つためには「たんぱく質+ビタミンC」でコラーゲンをつくる原料となります。
また、筋肉の収縮機能に関わる鉄分や、野菜に多く含まれるカリウムや、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルもタンパク質の代謝をサポートするために欠かせない存在です。
結局のところ、多種多様な品目をまんべんなく摂取すること(好き嫌いをなくす)が必要なのです。お肉を食べるときは同量以上の野菜を用意してお肉の食べすぎを防ぐ献立がおすすめです。
賢い選択その5 できるだけ食べる頻度を減らしたいたんぱく質はこれ。
ウインナーなどの加工肉(肉と塩と香辛料以外のものが多用され不自然で添加物が多い)、唐揚げやフライドチキン(油や脂が多く中毒性のある食感と味付けに載り食べ過ぎに)、ちくわやかまぼこなどの魚すり身製品(無添加であれば海の滋養とたんぱく質が豊富な健康食です)。これらは健康長寿を目的とした世界的な食事方法でも控えることが推奨されています。お肉であれば赤身肉は食べすぎに注意が必要です。
これらを使わずに肉や魚は塩を振って焼くだけでよいですし、お弁当にもウインナーではなく塩コショウで味付けしたお肉を入れたほうがたんぱく質の量も味わいもずっと豊かだと思います。
料理によっては、ウインナーやハムやベーコンが必要になり、我が家では自家製の鶏ハムやパンチェッタ、皮なしウインナーを作りますが、特別なときに食べるのなら無添加のものを選択するだけで自家製でははるかに及ばない本格的な味わいが楽しめます。
★筋肉維持の基本中の基本「たんぱく質と運動がセット」
食の面からたんぱく質について説明をしてきましたが、大きな目的は筋肉の維持。たんぱく質を摂っても運動しなければ筋肉は減ってしまいます。
入院して栄養バランスのよい食事をしても退院するころに足などが一気に細くなることがありますよね。
筋肉が減ると基礎代謝量も減り、筋肉がないのに太りやすい体質になったり、生活習慣病のリスクが高くなってしまいます。
その習慣が続き、膝や腰まわりの筋肉が少しずつ落ちていくと、関節に負担が増えて軟骨がすり減り、高齢になると運動ができなくなり老化の悪循環によって寝たきり、認知症になる可能性が高くなってしまいます。
「一生歩ける体をキープする生活習慣を今からはじめる」という意識を持つことが大切です。
運動は食前、食後?
食べ物の質や運動の質やその目的が異なるため、専門家によるさまざまな情報がありますが、通常の筋肉を維持するための一つの指針として考えてみると、
・筋肉の合成は、運動の1~2時間後にピークを迎える
・たんぱく質の消化には2~3時間ほどかかる
この条件から、食後1時間後に軽い運動を行うのがよいと考えます。
また、このタイミングは消化吸収の早い糖質を運動で消化できるため糖尿病予防でも推奨されています。
また、血糖値上昇が抑制されると、老化の元凶でもある「たんぱく質のAGEs化」を抑制する効果も得られます。
とはいっても、仕事を持つ人は食後に運動する時間はありません。早めの朝食にして通勤時の運動量を上げたり、デスクワーク中心なら座りながらできる軽い運動を取り入れてみて。
筋トレ後のビールはNG。残念!
筋トレ後にプロテインを飲み、アルコール摂取した場合としない場合では、その効果は3割ほど低かった研究結果があります。筋トレ効果を出したい場合は3割減はもったいないので翌日に。
日ごろの運動はどのくらいすればいいの?目的別3選
◎筋肉をつけるにはスクワットや腕立て伏せ、腹筋、椅子を使った運動など。本格的ならばジムやスイミングで。
◎筋肉をキープするには1日30分から1時間程度のウオーキングやサイクリングなどの軽い有酸素運動でもOK。
◎ストレスを解消したり、リラックスを目的とするなら、ストレッチやヨガを。
いずれも元気で長生きするためには、下半身を中心に筋力をキープすることが目標です。
※参考文献:シニアのための筋肉の新常識(筑波大学大学院教授・久野譜也監修)、面白いほどわかる たんぱく質の新常識 (立命館大学スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 教授 藤田聡監修)、栄養学博士が教える「たんぱく質」最高のとり方(女子栄養大学栄養学部教授、栄養学博士 上西一弘監修)ほか
※栄養データ:日本食品標準成分表、あすけん、イートリート、栄養成分ナビほか
カテゴリー:お肉料理お魚料理たんぱく質をしっかり摂ろう!野菜料理