稲作だより,  土の声

不作 土の声 2018.11 No.153

▼10月1日に農林水産省より米の収穫量を予想した「作況指数」が発表された。著しく低かったのが北海道の90。山形は99、秋田で98、宮城は103。この頃は、まだ収穫がはじまったばかりで、願いを込めてこの数字を信じるようにした。
▼一番に稲刈り終えた宮城では「今年はよさそうだ」と笑顔の通りに質、量ともによい出来栄えだった(昨年は半作。喜びもひとしお)。一方、秋田では、技術的なことで一部が減収となったと推測していたが、刈り取りが進んでも手ごたえ変わらず減収確定。酒田も、早く刈り取った品種だけの減収に見えたものの結果は「今年は百袋以上の減収だ」との声。それを裏付けるように、11月1日に発表された作況指数では、秋田内陸部は2ポイント下がり96。山形内陸部も同じ96、酒田はさらに下がり95。山形は14年ぶりの「やや不良」。一般栽培の生産者との立ち話からは「いつもなら田圃一枚に軽トラ3台分の籾が取れたのに、今年は2台で間に合った。収量は3分の2ということだ」「米価は上がっても、今年は赤字、持ち出しだな」と苦笑い。わずか4~5ポイント下がっただけでこの状況。つまり、稲作経営は作況指数100以上を前提にして成り立っていることがわかる。近い将来、高齢化と人手不足に「生産者の米離れ」が加わる。
▼私たちの一生の食の中心にあるご飯。その生産を効率化、コスト優先だけで解決するわけにはいかない。持続可能な高品質米の生産体制の強化を目指します。