農業を尊敬する国には未来がある、語り合った二日間
続いてテーマ別のパネルディスカッションに移り、代表米山正から今一番私たちが考えていかなければいけない食育をテーマに現状と問題点が報告されました。
特に子供たちの教育の中でもこれまで取り上げられることの少なかった食の教育の重要性がようやく認められ、知、徳、体に食が加わったこと、公教育の四本柱になったことなどが報告され、ますます農業と食との関連を緊密にしていこうと語りました。
生産者からは、有機農業をはじめたきっかけとして、身体を壊した話、身内を亡くした話など、一昔前の農業の恐ろしさを、そして、肉を食べる機会などは一か月に数度程度だったことなど、食生活の変わりようが言われました。最近は地方でもたくさんコンビニができたことで、子供がお菓子などに走ってしまうと呟かれていました。
・妻のみち子さんが産直を初めてもう17年余り。弱かった自分も丈夫になりました。
と語る袴田さん。関連した問題ということで、清瀬市の袴田さんから自治体の委託を受けて市民大学のカリキュラムづくりをしているが農地を抱えた都市では、休耕地の増大が問題であり、それを解決していく1つとして市民が農業を学んで遊休地を利用して市民農園を活発化させることなどが報告されました。自治体で市民農園を募集すると一区画に200人も300人もの応募があり、どうしても農業したい人は1時間余りかけて空いている農園に通っていることなども語られ、人々が「自然や農業に大きな期待を抱いている」ことなども語られました。
・農業を継いだときには、田舎なのに、消毒液、農薬とひどすぎる環境に有機農業にチャレンジ。
有機農業に転換して数年、全滅も経験したので親が心配して農薬使えとしつこく言われている。
それでも「有機農業はエキサイティング」と語る大江町の五十嵐さん。
・昨日、最上舟唄を熱唱した安孫子さん、家畜と果樹、野菜と複合農家の小山田さん、
かやぶき屋根の家に住んでいるが、アトピーやシックハウスには無縁。
「人間土から離れてはダメだ」と高橋さん。
・もっともっと環境のこと、農業のことを知りたい。情報をどんどん伝えて欲しい、
と東京の青島さんは、当会が宅配をはじめたときからの長いお付き合い。手間をかけ、
いつくしみながら育まれている野菜を実感しています。
親の気持ちを子供に伝えることの難しさ、安心な食を守れない社会を痛感しているそうです。
・胚芽米で麦ご飯を出していると授業参観で評判になり、ママたちにも広まったことや
食と農の関わりを学ぼうと参加された保育士さんたちの日々の実践の様子も聞けました。
・教育の現場で再び子供たちの教育に当たっておられる赤堀嘉範さん。
今、目指しているのは食育です。
有機のお米に惚れ込んでいるので、子供たちにも炊いて食べさせ、お米の味に感動したところで
食育授業が始まる。と語る赤堀さん。最後にキラリと光る言葉を頂戴しました。
「子供を尊敬する親は幸せと至福感がある、子供を尊敬する教師は充実感がある、
子供を尊敬する国は未来がある」この『子供』を農業に置き換えて下さい、と。
語り合うには少々時間が足りなかった感もありましたが、第1回の試みは様々な課題を積み上げつつ、先ずは盛会に終わりました。生産地にいると、ともすれば生産現場の苦労に耳を傾けがちになる私達に先進的な考えを持っておられる会員の方々からたくさんのことを教えていただきました。
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